「森田療法のすべてがわかる本」監修の北西憲二さんの本です。
第一章 森田療法の確立と展開
第二章 キーワードで知る森田療法のエッセンス
第三章 治療はどのように行われるか
上記の構成になっており非常に理解しやすい内容です。
投薬による治療や認知行動療法との違いにも言及しています。
新書ですので分量的にも価格的にも、森田療法を学ぶにはもってこいではないでしょうか。
私たちの悩みのすべてが、脳科学から解明され、解決されると考えることは新しい神話にしかすぎません。薬物療法を受けた方がよくわかっているように、魔法の杖はないのです。ふっと悩みが飛んでいき、いつも楽しく、活動的な人生などありえません。
苦あれば楽あり、さまざまな出来事に私たちは遭遇します。それを一つひとつ、一大事だと思い込み、とらわれると苦悩は益々増していきます。
自分の不安、恐怖、イヤだと思う感情、落ち込みなどを何とかしようとあれこれ考え、行動することを「はからい」と呼びます。人ははからえばはからうほど、苦悩、不安を強めて「とらわれ」の状態に陥ってしまいがちです。
緊張せずに発表できるよう・・・、緊張しないことに心が向かってしまい・・・
伝えることが本来の「生きる欲望の発揮」のはずなのに、この欲望は、別の方向、すなわち緊張を取り去って堂々と話すことにいってしまい、空振りすることになり、自分で自分を追い詰めてしまうのです。
「苦楽共存」
遠くへ旅行する。長い日数がかかる。裏から見れば、困難・危機・苦痛である。同時にこれを表から見れば、突破・成功・喜び・楽しみである。
「悩むのは、その人に何かが足りなかったり欠損があったりするのではない」 中略
「現実の自己」を受け入れられず、「理想の自己」を追い求めるという過剰さゆえに苦しんでいる
(悩みを)考えないようにすること自体、その考えに絡め取られてしまいます。考えを考えで打ち消すことはできないのです。
迷ったら、頭でシミュレーションせずに踏み出すこと
「理想の自己を削ること」「現実の自己をふくらますこと」
苦悩からの回復とは、悩む以前の状態に戻ることではありません。それは生き方が変わることであり、人生の行き詰まりを乗り越えることで成長していくことでもあるのです。
対人恐怖症がなおるというのは、対人恐怖的なとらわれがなくなるということであって、人間性としてあるべき対人配慮や、ある程度の対人的緊張感などがまったくなくなることを意味するものではない。(「森田療法のすすめ」高良武久)
「苦悩からの回復とは、悩む以前の状態に戻ることではありません。それは生き方が変わることであり、人生の行き詰まりを乗り越えることで成長していくことでもあるのです。」という一文が特に刺さりました。
それでは・・・・。