著者は“自己物語の心理学”、榎本博明先生。
何かと批判的に言われる「自分はこんなもんじゃない」というフレーズ。
でも榎本さんは、向上心がないとこの気持ちにはならないと書かれています。問題はこの言葉を隠れ蓑にして、行動に移さないことだと。
やりたいことではないから「本気をださない」、本気じゃないから失敗しても「本当の実力じゃない」という論法で逃げていては何も変わらないと。
目の前のことに集中すれば、たとえ“やりたいこと”ではなくても、“できること”が増える。“できること”が増えれば、それにともなって“やりたいこと”も変化していく。なので、やいたいことにこだわったり、やいいことがみつからないと嘆いていないで、今、すべきことに全力を出し切る。その過程で自分が磨かれていくのだと。
読み手として気になる点が1つ。若者に理解してもらうために、やたら“ヒット曲”の歌詞が引用されています。それはそれで良いのですが、問題はその量です。多すぎて、読みにくい(笑)。
それ以外は毎度、毎度の素晴らしいすばらしい内容でした。
未来を信じ、思い切って一歩を踏み出し、必死にもがき暴れることを通して、潜在的なものが顕在化し、自分らしさがつくられていく
「自分はこんなところにずっといる人間じゃない」「自分はこんなもんじゃない」と言いながら、仕事も適当で、自分を鍛えることもしていない。他人を見下し、自分が優位に立っているかのような幻想をもつことで、自分の中の不満や不安から目を背けようとする。
中略
そんな風に自分を慰め、逃げてるだけじゃ、いつまでたっても自分らしい人生は手に入らない。
ビジネス書のキャッチフレーズについて
魔法があるなら、誰も苦労はしない。ちょっとしたコツで簡単に成果がでるなら、そのコツはもっと広まっているはずだ。1時間で頭がよくなる方法があるなら、みんなが頭が良くなっているだろう。
中略
本当に仕事で充実している人は、地道な努力と試行錯誤の末に、自分なりのやり方にたどり着いている。そうした格闘のプロセスが、さまざまな気づきを生み、仕事力を高めるのだ。
自分への不満や自己嫌悪は、向上心のあらわれとみることができる。「自分はまだまだ未熟だ」という思いが向上心を生み出す
どんな生き方が自分らしいのかわからないという人は、どんな生き方もありだとなると、かえってどう生きたらよいのか悩むことになる
向上を目指すから、「どうしたらよいか」迷い、「うまくいくか」不安になる。だから迷う自分を気に病む必要はない
「わからないから不安」というよりも、「わからないからワクワク」する。「わからないから可能性がある」と考える
「自分のやりたいことは何だろう」などと考えるよりも、まずは動くこと、何でもいいから必死になって取り組むことで、「できること」が増えていく。「できること」が増えれば、自然に「やりたいこと」も変わっていく。そんな移ろいやすい「やりたいこと」なんかに振り回されることはない。
思い返してみよう。5年前、10年前に、今の自分を予想していただろうか。
一見無駄なことをする道草。それが将来の肥やしになる。無駄を切り捨てる暮らしをしていると、偶然のチャンスをつかむこともできない。
自己をひとつの封じ込めずに開いておく。
中略
プロメテウス的人間は、環境の変化に応じて自分自身を変身させ、そのつど自己の可能性を発揮しながら、自己を発展させていく。新しい自己を求めて、終わりなき実験としての変身を繰り返す。
※プロメテウス・・・変幻自在に姿を変えることができるギリシャ神話の海神
いやいや、ためになりました。
それでは・・・・。