タイトルだけ見ると、ちょっとスピリチュアルな感じがしますが、内容はアカデミックです(笑)。
著者は精神科医の勝久寿さん。森田療法をベースに認知行動療法を取り入れた治療方法が紹介されています。
森田療法の本を何冊か読まれたかたには、新鮮味がないかもしれませんが、質問に答えていくワークがあるので、かなり実践的ではあります。
ステップ1 何に不安を感じていますか?(今の不安に気づく)
ステップ2 なぜ、その不安を感じていると思いますか?(本来の願望を知る) →最大の不安を反転させて「本来の願望」を知る
ステップ3 「自分の現実」と「周囲の現実」はどうなっていますか?(2つの「現実」に目を向ける)
ステップ4 目的を実現するために「できること」を考えましょう(「具体的な行動」を考える)
各質問に答えていくのですが、キモはステップ2でしょうね~。不安の理由を反転させて「本来の願望」を知るってところでしょうか。
理屈では当たり前のことなのですが、改めて“書く”ことで頭の中が整理されるということのようです。
かなりへヴィに落ちている人には、書くという作業自体が厳しいかもしれませんが、モヤモヤして不安にさいなまれている状態には効きそうです。
変わった切り口の森田療法を学びたいかたにはおススメです。
ほんでもって以下備忘録です。
不安の裏には「本当はこうなりたい」「こうしたい」という願望があります
気分本位
「とにかく今の不安な気持ちをなくしたい」「すっきりした気分で過ごしたい」と考え、不安を取り除くことばかり考えます。しかし、たいていは一時しのぎや逃避的なことしかせず、不安が消えることはありません。
目的本位
不安を感じていてもそれは願望の裏返しと受け入れ、今の気分を理由に行動を変えることはありません。なぜなら気分次第で行動を変えると、かえって願望を達成できないとわかっているからです。
気分本位で行動していると、不安ばかり募る
不安に注意を向けていると、不快な気分とイメージが結びついて、不快感を伴う過去の記憶や望ましくない未来ばかりが思い浮かびやすくなります
「今の気持ち」ではなく、「今やるべきこと」を意識する
「気分がよければ、うまくいく」というのは勘違いである
目指すべきは、「今、自分がどういう気分か」と内側に向いている意識を、本来の願望を達成するために「今、自分は何をすればよいのか」と外側に向けることです
そもそも理想はあくまで理想であり、すべての物事を完璧にコントロールすることなど、誰にもできません、気分本位でいると意識が内向し、頭の中で考えたことと現実とがごちゃ混ぜになり、こうしたことがわからなくなってしまいます
意識が内側に向いていると、完璧や理想を追い求めたり、現実とのギャップによって悲観的になったりする
ジンクスやおまじない
このような行動は手軽に安心をもたらすので、徐々に増えていく傾向にあります。その結果、多くのジンクスやおまじないに縛られて、生活が不自由になります。不安から逃れたくてはじめた行動に、かえって追い詰められてしまっているわけです。
以前にも書きましたが、同じ趣旨の内容であっても、書き手によって表現が変わるので、新たに“刺さる言葉”に出会えます。なので同ジャンルの乱読はやめられません(笑)。
余談ですが、この本はこの手の書籍すれば低価格なので、出版元の永岡書店に好感を持ちました。
それでは・・・・。