「課長、その仕事、成長できますか?」 ◆ 「やりたい仕事」病



またまた、心理学博士の榎本博明先生の本です。

 

今回のテーマは「キャリアデザイン」。

 

はたして巷で言われているような“人生設計”なるものが、本当に可能なのかということに、するどく切り込んでいます。

 

不可能ならば、そもそも生きることに対するスタンスが間違っていることになります。なのに、それに一喜一憂するのもね~。

 

 

いつものように、わかりやすい解説でした。

 



「目標をもて」などとよく言われる。だが、人生で最も大切なのは、「目標」ではなく「プロセス」なのではないか。結果としてどこに到達したかではなく、どんな時間を過ごしてきたかによって、良い人生を歩んできたかどうかが決まる。

 

 

 

計画した通りに物事が進まない、自分のキャリアが計画通りに築かれていないというのは、じつは大した問題ではない。むしろ当然のことと言ってよい。それよりも深刻なのは、与えられた仕事に没頭できないことだ。目の前のすべきことに集中できない、これこそが深刻な問題なのだということに気づかなければならない。

 

 

 

期待外れの経験・「たまたま」出合ったものにはまる・・・

情報として知っているのと、実際にやってみるのとでは、大違いである。実際に経験してみると、経験なしではわからない新たな世界が開けてくるものだ。 中略

何事もやってみると意外な発見があるものだ。行動する前に考えるのではなく、行動してから考える姿勢が大切だ。

 

 

 

何がどのように個人の影響するかなど、だれにもわからない。すべては結果論であり偶然の出来事を後付けで解釈することしかできないのだ。

 

 

 

いくらじっくり考えても、行動しないかぎりなかなか自分は見えてこない。仕事することで発見する自己。何らかの役割を引き受けることで発見する自己。人とかかわることで発見する自己。行動することで、このようにそれまで気づけなかった自分の一面を発見する。

 

 

 

実際に職に就く前から、自分にはどんな仕事が向いているかがわかるはずと信じ込むのは、じつは非常に軽率な考えなのだ

 

 

 

行き詰ったときは、とにかく動くことが大切だ。考えていても何も見えてこない。考えすぎて身動きがとれなくなることが多い。動けば動くだけ見えてくるものがある。動かなければ視界は開けない。行動し、経験することで、考える材料が増え、気になること、もっと知りたいこと、試してみたいことが出てくる。気づきや経験が増えることで、将来の計画も、求めるものも、そのつど変わってくる。

 

 

 

慣れない仕事を前にしたとき、「自分には、この仕事に対する適性があるのだろうか」などと自問するのでなく、「新たな適正が開発されるチャンスかもしれない」と前向きにとらえることが大切だ。

 

 

 

何かができるようになると、何か「やりたいこと」が出てくる。その「やりたいこと」に向けて頑張っているうちに、できることが増えてくる。そうすると、また別の「やりたいこと」が出てくる。そうした好循環にもっていくためにも、まずは目の前の仕事に一心不乱に没頭することである。

 

 

 

「こうなっていたい」という将来像を想定し、そこから逆算して「今から準備しておくこと」考えるというと、あたかも合理的なように聞こえるが、キャリアを想定する諸条件が常に変動し、予測式に想定外の変数がつぎつぎに投入されてくるということを考えると、「何のためのキャリアデザインなのか」といった疑問がでてくるのも、もっともなことといえる。

 



何のために今頑張るのかがわからないと、なかなか頑張れないのが人間だ。先の展望が見えれば、少しはやる気も湧いてくる、キャリアデザインは、行動を促すためのものと言ってよい。

 

 

 

「災難に遭うのは過去につくった業が消えるときです。業が消えるのですから喜ぶべきです。どんな業があったか知らんが、その程度のことで業が消えるならお祝いせんといかんですな」(※稲盛和夫さんが大変な逆境で僧侶に言われた言葉)

 

 

 

実際に納得いくキャリアを手にした、いわゆる成功者の生き方をたどってみると、みんなたまたまやらなければならなくなった目の前の仕事に全身全霊を傾けたことの結果として、納得のいくキャリアを手にしている

 

 

 

キャリアはデザインするものではない。キャリアというのは、行動する人のあとからついてくるものなのだ。

 

 

 

ジェラット(心理学者)は積極的不確実性という新しい枠組みを示した。ここで強調されるのは、将来は不確実なものであり、その不確実性を否定的にとらえるのではなく肯定的にとらえようといったことである。

 

 

 

「今、このとき」を引き締めるためにも、「何をやるか」より「どうするか」にこだわりたい この先のキャリアを予測しようとしないこと。そうすることで「何が起こるか分からない不安になる」という心から、「何が起こるかわからないからドキドキする」という心へと、構えをシフトすることができる。

 

 

 

苦しいときというのは、自分の限界に挑戦しているときだ。今が限界を乗り越えるチャンスなんだ。

 

 

 

先のことをいくら考えても、さまざまな変数が絡み合い、予測はたえず裏切られる。思い通りにならずにガックリ落ち込むこともあれば、思いがけない幸運に恵まれ有頂天になることもある。人生というのは予想外れの出来事の連続だ。

 

 

 

 

またまた目が開きました(笑)。

 

 

 

それでは・・・・。