著者は臨床心理士のクラウス・ベルンハルトさん。
ドイツで大ベストセラーになった「敏感すぎるあなたへ」に続く第2弾らしいです。
“食事・運動・睡眠・思考・言語”と“うつ”に関して、多岐にわたるアプローチを本書で展開しています。
今回も学びが多かったので、備忘録。
ある種の微量元素の不足や過剰でさえ、うつ病、不安症、燃え尽き症候群につながる可能性があります
対処療法
それはちょうど、家で火災が発生したときに、煙探知機の耳障りな音だけをオフにするようなものです
ネガティブな考えを持ち続けるとあなたの脳の構造が変わってしまう・・・。
中略
脳には可塑性があるために、ネガティブなことを知覚するのはますます得意になる一方で、前向きな体験を処理する能力は低下します。その際に脳内で生物学的変化が発生するとことは一連の研究によって証明されています。
うつ病の人にセロトニンが欠乏しているという科学的論拠はひとつもありません
身体と心の声の共同作業:カメラマン・作家 ウルリッヒ・シャファー
心の声が身体に言いました。
「君が先にやってくれ。やつはおれが何かを言っても聞く耳を持たないんだよ。君の言うことなら、聞くかもしれない」
「じゃあ、病気になるよ。そうすればやつも考え直すだろう」
身体は心の声に言いました。
ネガティブな考え方と意図的な悲観論は、不愉快な経験を防ぐことも、苦痛を軽減することもできない このような(ネガティブな思考)考え方をしていると、脳はますますネガティブなことばかりに気がつくようになります。一方、ポジティブなものを見る能力は、じょじょに退化していきます。そしてチャンスをとらえるより、行動を起こさないほうがいい理由を探すようになります。人生を改善する機会にはもはや気がつきません。代わりに、実際にはまったくそんなことはないのに、危険やトラブル、不正に囲まれているという感覚がますます強くなります。
中略
焦点が当てられる回数が多ければ多いほど、わたしたちはそれに伴う感情もろともその情報にアクセスしやすくなります。一方、気にしていないことは、どんどんぼやけていきます。
脳はわたしたちの個人的な好き嫌いをもとに情報を選別します。感激することの多い人ほど、幸せと満足を味わいます。一方、不満ばかり口にする人は、遅かれ早かれうつに向かうかもしれません。
人生においてわたしたちが何かを変えようとする理由は2つしかありません。大きな苦痛と大きな目標です。
あるゆるものは毒だ。毒のないものはないーそれを毒でないものにするのは適切な用量だけである。 医者・哲学者パラケルスス
子供時代のつらい思い出についてセラピストに話すと・・・ 不快な思い出やつらい気持ちがさらに強くなって、絶えずそのことを考えるようになるだけです。
中略
あなたの生き方に何らかの変化が起きるでしょうか?いいえ、何も。
中略
味わうのは怒りやあきらめです。
中略
子供時代がどんなにつらく嫌なものであったとしても、ひとつだけ良いことがありますーそれは、「もう過ぎたこと」だということです。
うつというものが薬の副作用として起きることがきわめて多い・・・
脳に関するわたしたちの知識レベルは、手斧で精密時計を修理しようとする石器時代の人間のようなものです
食品業界はせっせとスーパーの棚の列をシュガーフリー、グルテンフリー、ラクトースフリー製品でいっぱいにしています。結局のところ、何でもいいんです。トレンドで儲けることができるのですから。
検査キット
考えてもみてください。食物不耐症を正しく診断するのは医師にとっても容易ではないのに、そういう検査キットはいったいどの程度信頼できるのでしょうか?
グルテン不耐症同様、フルクタン不耐症は腸の不調という形で現れます。
中略
腹痛や腹部膨満感、または下痢に悩む人々は、腸のきれいにするためにプロバイオティックス薬を使おうとします。このプロバイオティックス効果は、多くの場合イヌリンがもとになっています。しかし、イヌリンはフルクタンの一種です。フルクタンが合わず、プロバイオティックスで症状を緩和しようとするのは、悪魔が悪魔を追い出そうとするようなものです。
フルクタンやグルテンを控えるだけで、抑うつ症状が軽くなったり、完全に消えたりする人もいいます。けれども他の要因が関わっている場合は、はじめのうちはプラスの効果は体調にしか現れないかもしれません。
ある食べ物をどうしても食べたくなったからといって、私たちの身体がその成分を緊急に必要としているとは限りません。むしろ、単にその食べ物をよく食べているからということのほうが多いのです。残念ながら、それが健康によいかそうではないかは別です。何かあるものをたくさん食べたり飲んだりするほど、わたしたちはそれを欲するようになります。
「オール・オア・ナッシング」は良くない
たとえすぐに徹底的に食生活を変えることができなくても、いらつかないでください
葉酸
1960年代以降、多くの研究が行われており、うつ病患者の少なくとも30%が葉酸欠乏であることがわかっています
亜鉛
亜鉛欠乏症になると次のような症状が現れます。気分のむら、疲労感、落ち着きのなさ、集中力の欠如、そしてもちろん、うつ病も。
ビタミンD
高濃度のビタミンDが抑うつ症状を緩和できることが、2017年のアフサネ・バーミラの研究で実証されました。
中略
最初の数週間はほとんど変化がありませんでしたが、続けているうちに効果が顕著に表れたといいます。
マグネシウム
マグネシウムの必要量はストレスの量に大きく関係します。ストレスの多いときにマグネシウムをとれば、緊張、疲労感、高血圧、片頭痛発作、それから難聴にさえ効果があります。
銅
銅の過剰摂取がうつ病に関連しているかもしれない
SNSを使っていると、人は常に他人と自分を比較するようになります
わたしたちが毎日受け取るメッセージの少なくとも95%は個人的な生活とは何の関係もありません
オーディオブックの効果
うつや燃え尽き症候群になった人は、絶えず頭の中で自分に話しかけています。これは気分をさらに落ち込ませてしまいます。一方、優れたオーディオブックは、これらの有害な独り言が行われる感覚チャンネルを別の「危険のない情報」で満たします。すると脳は、刺激的で面白い、あるいはためになる話を聴くことになり、独り言は少なくともその間は止まります。すると、ネガティブな考えが保存されているシナプス接続が緩んでほどけやすくなります。その結果、日を追って有害な独り言が減っていき、抑うつ症状が大幅に軽減されるのです。
自分と「不適切な対話」をすると精神病になることは、すでに60年前から言われています
間違いは間違い
幼い頃から次のような「金言」を聞いて育ちましたか?
ここに遊びに来ているのではない。
努力なくして成功なし。
人生は甘くない。
喜ぶのはまだ早い。
中略
これらの言葉はかつて「出来の良い下僕」を教育するのに役立ちました。子供のころからこれを聞かされていると、人に従い、安易に妥協し、服従し、抵抗しないようになります。
わたしたちの人生はいつでも今このときだけ・・・。
中略
何よりも大切なのは「笑い」です!妻とわたしは結婚するときにある契約を結びました。それは、人生の終わりまで少なくとも1日1回は相手を笑わせるべし、というものです。
もしあなたがあまり成功していないなら、もっとたくさん失敗することだ
完璧主義
人間の特性は成長であり、生命、多様性、そして変化する能力です。ところが完璧主義はまさしくこの正反対なのです。何かが完璧だとしたら、今の状態を破壊せずに追加したり削除することはできないからです。
経営者も完璧主義の罠にはまる
完璧主義は何が何でもすべてをコントロールしなければ気が済まないという形で現れます
ボトルネック(物事がうまく進まない部分や要因)
光が足りない花にいくら水をやっても役に立たないのと同じように、人間の場合もいちばん欠乏しているもので心地良さが決まります。たとえば自由時間が少なすぎると、給料が上がってもあまり役に立ちません。おそらく増えた収入を心理学でいう「代理満足」(本当の欲求は満たされないまま、代わるもので満たそうとする)に使うだけでしょう。自由な時間はたりないままです。
何か問題が起きると、わたしたちは一番簡単な解決策を探そうとします 「大事なもの」と「目指すもの」をリストアップする
「人と比べることは幸福の終わりであり、不満の始まりである」セーレン・キルケゴール
不満と失望は消費することによって見せかけの満足感へと導く→経済状況が悪くなる→(たいていは気の進まない仕事で)さらに働く→働きすぎになる→不満と失望に襲われる 常に人と比べている人は、人間はそれぞれだということを見落としています。もちろん、どの分野にも必ずあなたより優れた人がいるでしょう。なにしろ75億人もの競争相手がいるのですから。ただし、次のことも忘れないでください。いつだってあなたより出来が悪く、魅力がなく、教育のない人はいるのです。問題は、何を目指し、何に自分の力を注ぎたいかということなのです。
心のくすり箱
以前気分を良くしてくれて、今でも効き目がありそうなものは?そして五感それぞれを元気づけてくれるものを探すことにしました。 中略 現在わたしのスマホには楽しい曲を集めたプレイリストや見るだけで楽しくなる写真が入っています。うつや燃え尽きたときだけでなく、ごく日常的にストレスを感じたときも、ポジティブな記憶を活性化することは役立ちます。
憂うつなことばかり考えていれば、脳の細胞は悲しみを感じやすくなります。逆に、ポジティブな記憶を活性化すると、そのたびにポジティブな感情に接続するシナプスが強化され、かつ更新されます。
「成功した人々は良い質問をするーその結果、よい答えを得る」トニー・ロビンス
「なぜ」から始まる質問が功を奏することは滅多にありません。そうでなく、「誰が、どのように、何を」という質問は、多くの場合、前進させるアイデアにつながります。
「一般化」の罠から抜け出す
一般化はわたしたちの目と耳を塞いでしまう
たいへんためになりました。
気分が塞ぎがちなヒトにとっては、試してみる価値のありそうな方法がてんこ盛りです
それでは・・・・。